グッドモーニングカフェ(宮崎市)

期間営業で開店する、完全予約制のモーニング(ブランチ)のお店の情報案内です。基本情報はキツネ面の画像をクリックして『お店のご利用について』をご覧下さい。なお、最新情報はカテゴリーで『お店』を選択すると、お店についての記事のみご覧頂けます。

記念日

今日はお店を始めてから丸13年目の記念日。

特にいつからオープンすると決めていなかったけど、このままだとズルズルとしないままで終わってしまいそうな気がしたから、亡き祖母の生まれた日にオープンすることにした。

貧しいなかで、暴君の祖父が連れてくる飲み客をもてなし、家族に行き渡るだけの料理を苦心して作り出していた祖母。

彼女の家に預けられていた頃の記憶が、一番あたたかい。小さなミシンやアイロン台を前に背を丸めて、内職仕事をこつこつとしている傍らで、数冊しかない同じ絵本を繰り返し読んでいた。ミシンのゆっくりした音を聴きながら、いつしか眠っていることがよくあった。

ある時、なんだか違う音を聞いた気がしてフッと目を開けると、こっちに半分背を向けた祖母が、裁縫道具の引き出しのひとつを開けて何かを取り出しているところだった。
紐で繋いだ五円玉の束(というのか)だった。

何か見たらいけない気がして、すぐ目をつぶって寝たふりをしていた。

自分のものは何も買わず自己主張もせず、ひたすらいつも他の誰かの為に黙々と手を動かしていた祖母。

祖母の薄暗い台所が、私の原風景だ。いつもほんの少しだけ流してあった水道の水の音、五右衛門風呂を台所の土間から焚いている、火かき棒を使う気配。

大正生まれの人だけど、ハイカラなところもあり、サイダーが好きで、カステラなんかもどうやっていたのかわからないが作っていた。
かしわ(鶏肉のことを祖母はそう言っていた)入りの本格的なマカロニグラタンを食べたのも、祖母の家だった。

あんなふうに料理や物事に向き合える人にあやかりたくて、祖母の誕生日を開店日に決めたのだった。

毎年、店の食器棚兼神棚である、形見の着物箪笥に手を合わせて感謝する。
「ばあちゃん。ありがとう。これからも一緒に料理をしようやね」